2020年11月14日

「とんがりライド」。

何だこれは、意味が分からない。おかしな名前だな。

「しまなみ海道」、「琵琶一」、「富士山ヒルクライム」。 これなら自転車に乗っている人なら、誰でも想像できる。自転車に乗らない人でも、心にすんなり入ってきて、地理ぐらいは頭の中に描けるであろう。それに引き換え「とんがりライド」とは・・・。

では、答えよう。

「北海道縦断ライド」、えりも岬から宗谷岬までを自転車で駆け抜けるイベントだが、その前半戦、えりも岬から旭川まで走るイベントを「とんがりライド」と称している。そういえば、どの地図を見ても「えりも岬」はいつもとんがっている。言われるとぴったりの命名ではないか。命名者に拍手。

ちなみに、「北海道縦断ライド」の後半は「てっぺんライド」。これも的を射た命名だな。

 

 

1日目

10月16日(金)前泊

今回の出発地点である「えりも岬」。唄にもある通り、春には何も無くなるところ。交通の便も昔から非常に悪い場所である。さらに、数年前の台風で海岸沿いを走るJR日高本線はズタズタになり、今も鵡川~様似間は不通で代替バスによる運行となっている。

今年JR北海道は、復興をあきらめて鵡川~様似間の路線廃止を決定した。悲しいかな、学生時代「青春キップ」で乗り継いだ北海道内のローカル線が次々と廃線になっていく。自転車をリタイヤした後は、ゆっくりと鉄道旅をと思っていたが、そのころには北海道内の鉄路は無くなっているのではないだろうか。

今日の宿泊地は浦河。幸いにも、札幌からの移動は人も自転車もサポートカーに運んでもらった。16時無事浦河に到着。残念ながら、きれいな夕日は拝めそうにない天気だが、10月半ばとは思えないくらい暖かい。明日以降、雨が降らないことを願う。

ここで今回のメンバーを紹介しておこう。

原 文宏 氏 北海道開発技術センター 地域政策研究所 所長 工学博士でもある。
しかし、堅苦しさはまったく無くひょうきんなおじさん。
小西信良 氏 北海道開発技術センター 調査研究部 研究員 顔に似合わず文学博士。
30歳代とメンバー最年少。
しかし、昨年の北海道一周ライド同様、体はちょっと絞り切れていないか。
吉田 崇 氏 網走サイクリング協会 副会長 日本酒の好きなロマンスグレーの紳士。
今回はサポートカーで貧脚の我々をアシスト。
滝口勇二 氏 十勝サイクリング協会 インストラクター レーサー上がりの温厚な仙人。
弱いくせに酒は好き。
しかし、勝負には厳しい男。
私の自転車の師匠でもある。
古舘一也 氏 ご存じ札幌サイクリング協会のアイドル 兼理事長。
柔和そうな外見からは想像がつかないバリバリのレーサーだった。
今でも太ももは、あの中野浩一張りの太さとか。
中村文昭 皆から暇なオヤジと思われているが本当に暇なオヤジ。

以上の6名。滝口師匠中心に進むだろう。

2日目

10月17日(土)

若干2名のメンバーが、「とんがりライド」本来の出発地点である、38km先の「えりも岬」まで浦河から自走を敢行。この思い違いの「38km」が、後々、この2名を挫折に追い込むのだが・・・

 

この時期夜明けは遅い。6時になってようやく日が昇ってくる。今日のウエアー選定の為気温、風向き、風力を確かめに外へ。

もういるよ、滝口師匠、早いなあ。相変わらず出発前の準備に余念がない。自分も輸送車から自転車を下ろし、ホイール取付、ブレーキ、エアーのチェック。天気も上々、微風、思ったほど寒くない。よ~し、完了。

朝食を済ませ、滝口師匠と7時24分出発。国道235号線、片側1車線で路側帯はかなり狭いうえに、車道と段差があり、あまり良い状態とは言えない。日高道は急ピッチで延長工事が行われてはいるが、まだ、浦河町まではつながっていない。そのため、この道は、帯広市に抜けるトレーラーをはじめ大型車が多い。交通量はそれほど多くはないが、それでも続くときは、何台もの大型車が自転車の右脇をぎりぎり追い越していく。幸い今は時間が早いせいか、大型車が少ない。車道左端の路面状態も悪くなく走りやすい。アップダウンもなく、何よりも追い風だ。

様似町、20kmが過ぎた。あと半分。この分だと、予定の8時45分ころにはえりも岬に到着できそうである。浦河から30kmが過ぎ、35kmが過ぎた。あと3km。おかしい、右前方に岬が見えてこない。

「えりも岬 20km、えりも町 3km」の看板。

「やってもうた。」

襟裳岬浦河町から38kmは、「えりも岬」ではなくて「えりも町」だった。まだ20kmある。どうする、どうする? このままだとえりも岬到着は9時30分ころだな。などと自問自答をしながら、とりあえず滝口師匠に思い違いであったことを平謝りする。師匠も薄々は気づいていたようで、とりあえず後ろのサポートカーに回収してもらい、えりも岬まで輪行を決断。いわゆる途中挫折ですな。今後に生かすとしょう。無事サポートカーに拾ってもらい、9時にえりも岬到着。

なんと穏やかであろうか。風がほとんど吹いていない。ここ、えりも岬には「風の館」と称する強風体験ができる施設があるくらい、年がら年中、何かにつかまっていなければ立っていられないほどの強風が太平洋から吹き付けている。何度も訪れているがこんな静かな日は初めてである。

ちょっとしたセレモニーを行い、記念写真を撮って出発。

 

えりも岬を出発して快適なライドが続く。交通量も少なく、路面状態も良い。トイレは公園・港等適度に設置されており問題ない。途中、国道沿いにある望洋台から海岸に沿った黄金道路の眺めは素晴らしい(天気が良いと)。

北海道一長い「えりも黄金トンネル」。4,941mと聞くと一人で走るにはちょっと尻込みをするような距離だが、皆で走れば怖くない。

黄金道路今回は土曜日ということもあり、交通量が少なく走りやすかったが、追い越し車両のことを考慮し、ヘッドライト、テールライトをしっかりと装備して、小グループに分かれ、追い越し車両が自転車を追い越しやすいように、間隔をあけて走行すべき。

 

広尾町丸美食堂(昼食)

「ししゃも定食」、ししゃもの焼き、天ぷら、刺身、甘露煮にご飯、みそ汁、おしんこがついて1,480円。特にししゃもの刺身はここ地元でしか味わえない絶品。

他にもメニューがたくさんありお勧めの食堂。

 

広尾町丸美食堂を出発して十勝平野の南端を北上する。ロケットで有名な大樹町を抜け忠類へ向かう。忠類ナウマン道の駅を過ぎ、国道236号から道道15号に入ると交通量が極端に少なくなる。と言うか、ほとんど車が通らなくなる。ここちよいアップダウンがあり、すごく楽しくなってくる。いいよ!この道。

森が少しずつ開けて畑が広がってくる。ゴールも間近なようだ。もう少し走っていたいなあ。今日の目的地は、豊頃町の高台にあるホテル。最後、500mほど駆け上がる。

ゴ~~ル!

 

十勝ロイヤルホテル(宿泊)

名前を聞いて期待していたが、外見は国民宿舎風だ。自転車は玄関内で保管してもらえる。

部屋は6人ほどが優に寝られる大きな和室。そこでひとり寝。トイレは部屋にはなく共同。

温泉ではないが大浴場がある。ちょっと前までモール温泉がこんこんと湧き出していたが、今は枯れてしまったようだ。残念! またの復活を期待しよう。

ここの大浴場、熱くもぬるくも無くちょうどよい湯加減。変わり種は洗い場。一人で4つの栓(ハンドル)を操作しなければならない仕組み。どういうことかと言うと、カランとシャワーが別々で、それぞれお湯と水の計4つの栓で湯加減を調整しなければない。止めるときは、水もお湯も両方の栓を回して止めるわけで、使うときはまた最初から湯加減の微妙な調整をしなければならない。また、シャワーを使うときは、身体をシャワーの方へ移動しなければならず、ちょっと(本当にほんのちょっと)厄介だが楽しい洗い場だった。常連さんとおぼしき人を観察していたら、カランのお湯は一度調整したら出しっぱなしだった。なんだかなあ~もったいない。

翌日の朝食は7時から。和定食、おいしくいただきました。

 

とり良(夕食)

豊頃町街中の焼鳥屋。しかしそこへ行くには、ホテルがある高台を降りていかなければならない。この街にタクシーや代行は無いらしい。行きはホテルの車で送ってもらう。帰りは・・? この立地は良くないね。もちろん「とり良」が悪いわけではないが。

おっさん6人(その内1人は30代)が焼鳥屋に行けば頼むものは推して知るべし。

生ビールとつまみ。締めはおにぎり(メニューは豊富で味も良い。特にから揚げは絶品)。

帰りは・・、予想通り、寒空の中を高台のホテルまで街灯も無い真っ暗な上り坂をとぼとぼと歩いた。そのおかげと言っては何だが、思わぬサプライズ。月あかりもない闇夜に満天の星空、これはすごかった。特に、はっきりと見ることができた天の川は感動もの、まさに星の川だった。

 

本日のデータ

走行距離 119.4km
走行時間 4時間40分
経過時間 6時間52分
平均時速 25.6km/h
獲得標高 553m
休憩地点 襟裳岬(出発地点) 0km
望洋台(トイレ無) 18km
広尾丸美食堂(昼食・トイレ) 47km
豊似防災ステーション(トイレ) 61km
道の駅コスモール大樹(トイレ・補給) 72km
豊頃十勝ロイヤルホテル(到着・宿泊)119km

・望洋台にはトイレは無いが、広尾までの国道沿いには数か所トイレがあるので問題はない。但しコンビニは無いので補給食を持参するか、サポートカーでの供給が必要。

・後半「道の駅コスモール大樹」での休憩後、豊頃町までの47kmは、コンビニ、トイレが無い。

・交通量が少なく、路面状況も悪くはない。しかし、トンネルが多く、長いので走行時注意が必要。

3日目

10月18日(日)

朝もやの中、木々の間から差し込む陽の光がまぶしい。今日も天気は良いようだ。

7時50分出発。気温は一桁台だろう。寒さの中、急坂を下る。ハンドルとブレーキを操作し、濡れた落ち葉を避けながら慎重に下る。とにかく濡れた落ち葉はタイヤがスリップして危険だ。落車に直結する。

十勝川北海道第3の河川、十勝川に架かる橋を渡って左岸の土手を北上。この時期、気温より水温の方が高いのだろう。川面からの水蒸気が靄(もや)となって、辺り一面を幻想的にうっすらと覆っている。静かな十勝川沿いの自転車道を、白い息を吐きながら、陽の光を背に受けゆっくり自転車を走らせる。山の中腹に、西洋の城のような池田町ワイナリーが見える。時間があれば立ち寄ってみたいが、次の機会としよう。

途中、「道の駅ガーデンスパ十勝川温泉」で休憩。まだ新しくきれいな施設だった。十勝川を離れ、国道241号に並行して走る農道に入る。この25kmほどの道路が誠にしんどい道路だった。規則的に5m程の間隔で横に亀裂が入っている。この亀裂を越えるとき、手首と尻にかなりの衝撃を受ける。これが25kmに渡り続くものだから、だんだんと手首と尻に痛を覚えてくる。亀裂を超えるときに、ペダルを踏ん張ってみたり、立ちこぎをしてみたりといろいろと対策は講じたが、完璧な対策とはならず、痛みを引きずりながら自転車を、こぐ、こぐ、ぎこ、ぎこ。

もういい加減にしろ!

 

道の駅ピア21しほろ にじいろ食堂(昼食)

にじいろ食堂日曜日とあってかなりの人手。予約してもらっていたおかげですんなりと席につけた。最初に券売機で食券を購入するスタイル。メニューは麺類からご飯類、ステーキと道の駅としては豊富にある。

ここの名物「剣先ステーキ」をふんぱつ。料理が運ばれてくるまでは、「剣先角牛」なるものがいると思っていたが、なんのなんの、見てびっくり。ステーキが載っている鉄板が剣先だったのだ。そう、あの「剣先スコップ」の先端。だから「剣先ステーキ」。「剣先角牛」なんて勘違いも甚だしい。ステーキはしっかりとした赤身の肉。おいしくいただきました。食後のコーヒーは別売。

結構ゆっくりと休んで出発。上士幌町で国道241号と別れ、国道273号に入る。十勝平野が狭まり、秋も深まり色づいた山が徐々に近づいてくる。今日の目的地、糠平温泉郷まではゆったりした上りが続く。トンネルも続く。国道273号に入ってからは交通量がめっきりと少なくなる。路面状態もよく走りやすい。しかし、上士幌町を過ぎてからずっとトイレがない。上士幌町のコンビニ辺りで休憩をとるべきだったか。仕方なく道端で滝口師匠と二人で用を足す。あ~~すっきり!

途中、糠平ダム展望台で記念写真を撮り、早々に糠平温泉郷へ。無事到着。最後はちょっと上ったかなあ。と思われる上り坂があったような?

 

糠平館観光ホテル(宿泊・夕食)

創業1945年。玄関を入ると、ロビー奥の一段低いフロアーはレンガ造りの壁、それに暖炉、ソファー、テーブルが置かれており、さながらヨーロッパのスキーロッジの雰囲気を漂わせている。それもそのはず、このホテルは糠平温泉郷に隣接するスキー場も経営しており、そのあたりの知識は心得ているはずだ。

冬になると、この暖炉に火が赤々と燃え、その周りにはスキーヤー、スノーボーダーが大勢集っているのだろう。

温泉は源泉かけ流し、無色透明無味無臭のナトリウム塩化物・炭酸水素塩温泉。効能は神経痛・筋肉痛・関節痛・疲労回復などなど。まさに今日の我々にピッタリ。

男女別の内風呂・露天風呂、さらにさらに混浴露天風呂が一つプラスされる。ムフフフ。

湯加減はちょっと熱め。自転車の後には、きっくううううう! 最高ですわ。

部屋はトイレ付き10畳ほどの和室。今日も一人寝。幸いなことに、部屋は温泉大浴場のすぐ前。温泉好きにとってはたまらないロケーション。翌日の朝も含め、5回ほど入らせてもらった。

和食膳夕食は、レストランで十勝の地の物を食材とした和食膳。ご飯、お吸い物もついて全11品。お酒も含め、大変おいしくいただきました。

量、質とも満足です。ちょっと声が大きくなりすぎて注意を受けることはあったが・・・

朝食は、7時から夕食と同じレストランで和定食。

従業員の対応も良く、温泉、食事も満足。自転車はホテル前の倉庫内に保管してもらい、安心だった。

 

本日のデータ

走行距離 98.02km
走行時間 4時間17分
経過時間 6時間54分
平均時速 22.9km/h
獲得標高 717m
休憩地点 豊頃十勝ロイヤルホテル(出発)0km
池田町ローソン(トイレ・補給)20km
道の駅ガーデンスパ十勝川温泉(トイレ)32km
道の駅ピア21しほろ(昼食・トイレ)62km
糠平ダムサイト展望台(トイレ無)95km
糠平館観光ホテル(到着・宿泊)98km

・朝もやの十勝川左岸堤防道路は車もなく、路面状態も良好。走りやすい。

・国道241号を避けて走った農道は、5m程の間隔で規則的な亀裂があり、非常に走りにくい。国道241号の方が、路側帯も広く、路面も良好で走りやすいのでは。

・昼食後、上士幌を越えるとトイレ施設が無かったように思う。上士幌のコンビニ辺りで一度休憩を入れた方がよい。

・到着後時間があったので、興味のある人は、幌鹿峠ヒルクライム挑戦。もしくは、「糠平鉄道資料館」見学等のオプションもありでは。

4日目

10月19日(月)

最終日、旭川までの約141km、今回の試走の中で最長ルートとなる。さらに北海道国道の最高地点、三国峠を越えなければならない。

標高が高い割に今朝は暖かい。8時出発。ホテル前はちょっとした勾配、スタート時はご注意を。

温泉街を抜け国道に沿って右折。まっすぐ行くと幌鹿峠を抜け然別湖方面へ。とても上り甲斐のある峠道なんだが、今回は右折。最初は多少のアップダウンはあるが、ほぼ平坦な道を進む。路面状態は非常に良く路肩幅もあって走りやすい。

タウシュベツ橋梁ほどなくして「タウシュベツ橋梁」の看板。国道から展望広場までは180m。入り口には「羆出没注意」の大きな看板。今は8時30分、羆の行動がまだ活発な時間。おやじ5人がかたまってそろりそろりと森の中へ。歩くとけっこう長いね180m。木の間から糠平湖の対岸にタウシュベツ橋梁が見えてき三国峠た。風もなく、鏡のような湖面には、橋梁と後ろの紅葉の赤や黄がきれいに反射している。10月中旬にはダムに溜まった水で完全に水没すると聞いていたが、10月も下旬にもなるというこの時期に、まだ橋梁全体が水没していない。紅葉と相まって素晴らしい景色が見えるとは・・・羆の恐怖に打ち勝ってここまで来た甲斐があったというもの。

幌加除雪ステーションでトイレタイム。ここを逃すと三国峠頂上までトイレはない。いよいよ三国峠の上りが始まる。それほど急勾配でもない、かと言って緩くもない。平均5%ほどか。10kmほど上ったころ、正面の高いところに何やら橋のようなものが見える。ひょっとしてこの道路の延長ですか。あそこまで上らなければならないのですね。頂上はまだ先ですね。はい、わかりました。

標高1,139m、上りきった三国峠。さすがにここまで来ると寒い。頂上のカフェで温かいコーヒーでも飲みたい気分だが、時間が無い。サポートカーで補給食を頬張り、ウインドブレーカーを着込んで下りに備える。

三国峠糠平街道に別れを告げ、三国トンネルを抜けて上川街道を豪快に下っていく。滝口師匠早い。さすが! 時速70kmくらい出ているが、見る見る離されていく。

この先、大雪ダムまでは20kmほど何もない。トイレどころか建物もない、人もいない。この辺一帯は羆の巣だ。

大雪ダム「大雪プラザ273」に到着して一安心。大雪ダムは、その上を国道273号が通っている珍しいダムだ。言われなければダムの上を走っているとはわからない。

流星の滝いよいよ国道39号と合流、層雲峡に向かう。流星の滝、銀河の滝、雲井の滝、錦糸の滝・・・・、層雲峡と言えば、子供のころ、親が運転する車から、国道沿いを流れる石狩川に、豪快に流れ落ちる瀑布を見るのが楽しみだった。今は奥まった駐車場から、流星の滝、銀河の滝しか見ることができない。落石事故や雪崩の危険回避のために、この区間すべてトンネルとなった。その名も「銀河トンネル」全長3,388m。交通量は多いが路面状態は良く、自転車も通れる歩道を片側に備える明るいトンネルである。落石、雪崩のことを考えるとしょうがないことだが、さみしく思うのは自分だけだろうか。

 

ラーメン楓(昼食)

層雲峡の真ん中、黒岳ロープウェイ乗り場に上がる通りの右側。「辛味噌」、「ごま味噌」、「ごま辛味噌」がおすすめのようだ。4人掛けのテーブル2つと小上がりにも座卓が2つ。

見た目頑固そうなおやじさんが、一人で切り盛りしている。我々5人が入店した後、何人か客が来たが、そのたびに、

「今から1時間以上かかるよ。ラーメン屋なら裏にもあるから。」

と、なんとも商売っ気の無いつれない言葉。そんなこと言われたら、客は出ていくしかないよね。何か先に入った我々が恐縮しちゃうんだけど。

でもね、このおやじさん話してみると、とっても優しいんだよなあ。人は見かけによらないというのはまさにこのことだよね。

「ごま辛味噌」ピリッと辛くてとっても旨かった。冷え切った身体が汗だくになった。

満足満足。

 

今日のほぼ中間地点、層雲峡を出発。残り77km。交通量は多いが、路面状態は非常に良いうえに下り基調で走りやすい。

スキージャンプでおなじみの高梨沙羅の出身地上川町に入る。昔ながらのお土産屋さん的な「北の森ガーデン」で休憩。ふくろうの透かし彫りキーホルダー、これはおすすめ。

石狩川を左に右に見ながら、どんどん国道39号を進む。「愛山」の駅を過ぎ、「中愛別橋」を渡ると、石狩川がまた右から左へ移る。やっと「旭川層雲峡自転車道」の入口「さくら公園」到着。残り40km強、陽の光もだいぶ傾いてきた。先を急ごう。

「パリパリ、パリパリ。」

とまるで草加せんべいでも割ったような乾いた音。秋が深まり、自転車道を覆い隠すほど降り積もった落ち葉を踏みしめて、滝口師匠を先頭にずんずんと進む。自転車道としては路面が非常に良好だ。今は旭川常磐公園からここ愛山町までだが、名前の通り旭川から層雲峡まで総延長約70kmの自転車道になる予定だ。このような素晴らしい自転車道があるなんて驚きだ。早く層雲峡まで開通することを期待してやまない。

途中、何度か道を間違え、ランニングをしていた女子高生に道を聞きながら、薄暗くなった道を走り、やっとの思いで旭川駅に到着。ただいまの時刻16時50分。

お疲れさまでした。

北海道一長いトンネル「えりも黄金トンネル」、北海道一高い峠「三国峠」を制覇した楽しいライドだった。

 

本日のデータ

走行距離 141.1km
走行時間 6時間11分
経過時間 8時間51分
平均時速 22.8km/h
獲得標高 919m
休憩地点 糠平館観光ホテル(出発)0km
タウシュベツ橋梁(トイレ無)7km
幌加除雪ステーション(トイレ)12km
三国峠頂上(トイレ・補給)32km
大雪プラザ273(トイレ)52km
層雲峡ラーメン楓(昼食・トイレ)64km
上川町北の森ガーデン(トイレ)86km
旭川駅(到着)141km

・前半休憩し過ぎかも。逆に後半、「北の森ガーデン」でトイレ休憩の後は、自転車道に入ってからも旭川までトイレ休憩が無かった。110~120km辺りで休憩すべきか。しかしトイレ施設がありましたっけ。

・国道39号はやはり交通量が多い。特に「銀河トンネル」内は注意が必要。場合によっては歩道走行も考慮すべきか。

・旭川層雲峡自転車道路はすばらしい。「車止め」の柵は少々余分だが、初・中級車が走る分には申し分ない。道案内板がもっとあったらさらに良い。

・自転車道はサポートカーが入れないので、パンク、事故、怪我、疲労等、緊急時の対応を考えておかなければならない。

 

全体を通して

今回の試走、119km/1日目、98km/2日目、141km/3日目、総距離358km。

特に3日目は、三国峠越えもあり獲得標高900m以上で、初級者には無理。中級者でもきついと思われる。初級者も対象であれば、途中層雲峡で1泊とし、4日間とすべきか。

次の課題は、浦河~えりも岬の移動をどうするか。今回は試走者5名と少人数での走行なので、なんとか1台のサポートカーで浦河からえりも岬まで自転車・人を運ぶことができた。大人数の場合は輸送手段を考えなければならない。

公共交通機関はJR日高本線の代替バスが様似町まで走っており、様似町からJR路線バスでえりも岬まで行くことはできるが、本数も限られており、非常に便が悪い。

それならいっそ、浦河スタート案はどうか。

今回は、距離を見誤って途中挫折したが、浦河~えりも岬52kmを追加して、総距離数410km。

中級者以上対象とすると、

浦河~大樹町 124km
大樹町~糠平温泉 145km
糠平温泉~旭川 141km

もしくは、

浦河~ナウマン公園 134km
ナウマン公園~糠平温泉 135km
糠平温泉~旭川 141km

の3日間

さらに最後の区間を、層雲峡で2つに割って4日間とするか。

初級者対象だと、

浦河~広尾 99km
広尾~十勝川温泉 104km
十勝川温泉~糠平温泉 66km
糠平温泉~層雲峡 64km
層雲峡~旭川 77km

の5日間かなあ。

 

北海道らしい風景が随所に見られ、アップダウンもさほど厳しいところは無く、走りやすい良いコースだった。まあ、天気と風に恵まれましたからね。あれが、雨と向かい風だったら印象も変わっていたかもね。

夕食はできれば宿泊施設で食べるのが楽かな。

ありがとうございました。来年も是非走りたいですね。

 

                                中村文昭